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●士業のホームページは専門分野に特化が有効

今回は引き続き、“良い”事務所ホームページって、どんなホームページだろう? ということについてお話しましょう。


前回、事務所ホームページの目的として挙げた2つのうち
〔目的2〕
潜在顧客がホームページを見て、仕事の問い合わせが来ることを望んでいる。
という場合の定番の方法として、以下の2つがあることをご紹介しました。


① 事務所に親しみをもてるホームページにする。
② 専門分野に特化したホームページにする。


①については前回取り上げましたので、ここでは2つ目の「専門分野に特化したホームページにする」にはどうすればいいか、順を追ってご説明しましょう。
まず、ホームページで「どのような専門分野をアピールするか」を決める(絞る)必要があります。


この「専門分野」については、どのような切り口でもいいのですが、例えば税理士事務所や公認会計士事務所の場合、業務で分類するのなら「相続税」とか「デューデリ」、顧客の業種で分類するのなら「製造業の税務」とか「小売業の税務」などで絞ります。あるいはもっと細かく「食品の小売業の税務」としても良いでしょう。


このように言うと、アピールする専門分野を絞ってしまったら、他の業務や他の業種の潜在顧客をみすみす取り逃がすことになるんじゃないか?
とお考えになる人もおられるかと思います。
しかし、集客においてはある戒めがあります。


「何でもできる」と言ったら、「何もできない」と言ったのと同じこと。


これは、逆の立場で考えてみるとよくわかるのですが、万が一、あなたが所得税について国と法廷で争うことになり、パートナーとなる弁護士を選ぶとしましょう。
「どんな訴訟でも引き受けます!」
と言う弁護士と、
「税務訴訟専門!」
と言う弁護士がいたとして、どちらの弁護士を選びますか?


・・・もちろん後者ですよね。


なぜなら、「専門」というからには、税務訴訟に強そうだからです。
さらに税の中でも「所得税の税務訴訟専門!」だったりしたら、大歓迎でしょう。


このように、「なんでもできる」と言っていたら、どんな分野においてもその分野の「専門」と言っている同業者に客を奪われることになります。


結局、「なんでもできる」では、「何一つ仕事がない」ということになりかねないのです。


また、専門分野で獲得した顧客があなたを信頼してくれれば、その他の分野の仕事についても、まず初めにあなたに相談してくるはずです。
つまり、専門分野を絞るということは、これから様々な仕事を増やしていきたい新規開業における「はじめの一歩」の戦略としても使える方法なのです。


次に、上記で絞った専門分野に「特化したホームページ」にしていく場合には、ページを訪れた潜在顧客に対し「その分野なら任せてほしい!」と強く訴えかけなければなりません。
一番効果的なのは、その分野の実績や経歴をアピールすることです。
しかし、これからその分野をウリにしていこうという場合には、それほど実績や経歴はないでしょう。
その場合には、その分野についての知識をアピールすることです。
ただし、潜在顧客はたいていの場合、その分野の素人ですから、読みやすく、理解しやすいページを制作することが肝要です。
間違っても専門書を書き写したようなページは作らないことです。
専門分野に特化したホームページの場合、自分の事務所の紹介は必要最小限になります。自分の事務所も詳しく紹介したいという場合には、「事務所紹介のホームページ」の他に「専門分野に特化したホームページ」を開設する方法もあります。
このように本体となるホームページの他に公開するホームページを「サテライト・サイト」と呼びます。
サテライト・サイトは、従来の業務と全く異なる業務に進出するような場合に、今までの業務の集客に影響を与えずに、新業務に特化した集客をかけたい場合などに適しています。


ここまで、ホームページからの集客を望んでいる場合の定番のホームページについてご説明してきました。
前回ご説明した「事務所に親しみをもてるホームページにする」方法は、すでにある程度の実績と規模のある事務所に適しているといえます。
そして「専門分野に特化したホームページにする」方法は、どのような人にもお薦めです。さらに言えば、この「専門分野に特化したホームページにする」という方法を採る人はほとんどいません。弊社でもお客様にずいぶんお薦めしていますが、人気はありません。人間の心理としては「アピールする専門分野を絞ってしまったら、他の業務や他の業種の潜在顧客をみすみす取り逃がすことになるんじゃないか?」という恐怖感はものすごく強いのだと思います。このように実行できる人が少ない方法なので、なおさら実行すると有効な方法なのだと思います。


(この原稿は、プロフェッションジャーナルに連載した「税理士・公認会計士事務所ホームページ再点検のポイント」(2013年7月~2014年2月)の内容を最新の環境に対応するよう手直ししたものです。)

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